コラム

ゼロ道 ZEROへの道

1997年の京都議定書で世界的にカーボンマイナスが提唱されたけれど、市井ではなんのことー?

訳解らんて感じだったと思います。私もそうでした。ごく一部の方が頑張ってくれればよいのではみたいな感覚でした。

住宅供給を生業としている中でこれからは、何が大切なんだろうということと、何を提唱していくべきなのかなということを改めて考えてみると

社会的にカーボンマイナスという環境保全に貢献してくださいよという時代になっているということから取り組むべき課題が明確になってきた。

住宅建築において、イニシャルコストを下げればクライアント様は嬉しいだろうし、受注もしやすい。

けれど、もっと大切なのはランニングコストを下げることなのではと気づいた局面があり、

ゼロエネルギーハウスに取り組まなければならない時代になっているということを痛感したのが2016年のことでした。

とはいえ、何をどうすれば光熱費0円住宅になるのか全く分からないところから始めていきました。

建物の気密性・断熱性・換気環境を整えることでスペックを上げつつ、約8kwを超える太陽光発電を搭載することで、

家庭内のエネルギー需給を全て電化に頼ったとしても、売電と買電の差がなければ年間通しての光熱費は0円になるということが解ってきたので

2017年から、本格的にクライアント様に対してゼロエネルギー住宅を果敢に提案してきた前提があります。

取り組み当初は、年度末であり翌年と併せて結果はほぼ0棟、申請書類を作るのにも四苦八苦。

やっと整備できた書類を提出し、結果を待っていると思いきや打診状態で二週間程度蒸らしてしまったりしたこともありました。

だんだん慣れてきて今では、ルーティーンとしてこなすことができています。

イニシャルコストが多少上がったとしても、その後の生活の中でかけた費用の4~5倍コスト削減ができたなら、

クライアント様においてはずっとメリットがあると確信し、ゼロエネルギーハウスを提案させていただくこととしました。

2019年には89% 2020年は93% 2021年は86%の受託率となりました。

えてして、性能を追求していくと更なる高見を求めたくなりがちですが、エリア特性を鑑み、オーバースペックにならないよう配慮しています。

昨今では諸物価高騰の煽りを受けまくっていますが脱炭素は世界の課題であり、日本だけが例外にはならないと思っています。

先の京都議定書後にドイツでは毎年建築基準法を見直し、昨今では外壁の厚さが30センチほどになっていると聞いたことがあります。

長年国土交通省は中小工務店保護、消費者保護の観点から政策を実施しており、性能表示にしても中小工務店は免除され、

ZEH補助金も長期優良住宅補助金も中小工務店が取得しやすいように便宜をはかって来たということが過去にありました。

それは変革について来れない中小工務店が多いからというのが理由のようでした。

そのような背景の中、国土交通省が行おうとしていた政策は始めに補助金政策を実施し、政策を示し普及を進める、

そしてある程度普及したら建築基準法を見直して義務化する、この段階でついてこれない企業はもう仕方ないので切り捨てる、

自助努力しない企業は淘汰されても仕方ないと考えを変えてきたようです。

実質CO2排出量のゼロをG7で公約しているのですが、これはとんでもない数字であり、

すべての政策、企業の技術開発なしでは達成出来ないようで、大手自動車メーカーや商社はすでにそれに向けて開発を進めており、

車の電動化(EV)水素燃料電気自動車の開発、水素やアンモニアを燃料とするエンジンの開発を進めているようです。

物資供給する立場である商社はオーストラリアで水素やアンモニアを作り日本に輸入する計画も進めているようです。

国土交通省は全国にEVスタンドや水素やアンモニアスタンドを作る為の補助金を用意するとのことです。

市場経済としてはスクラップ&ビルドを繰り返すことが経済成長につながるけれど、

脱炭素目線では、スペックの良いものを長く使う路線で行くべきでしょう。

2050年にはあらゆる建物に太陽光発電がつき自家発電でEVの充電をする、

すべての建物を地震でも壊れない丈夫な家(長期優良住宅)にして長く使う、

これこそが最も脱炭素には有効な手段になることと拝察します。

フランスでは、冬に赤外線カメラを積んだ飛行機を飛ばし、熱が外部に漏れている住宅に断熱改善命令を出す、

改善しない場合は公表して固定資産税を高くするということを聞いたことがあります。

日本でそこまでやるかどうかは不明ですが、既存住宅省エネ改修促進補助金を増やす事になっていくようです。

毎年5月から募集が始まる既存住宅長期優良住宅化リフォーム補助金もこれからも増額されると予想されます。

ヒートショックの防止も含め、気密・断熱・換気・冷暖房について、適度なスペックにすることで健康を維持していただき、

光熱費のかからない長持ちする住宅を提供したいと未来創建は考えています。